公的年金の給付 障害給付 遺族給付 

障害基礎年金

障害基礎年金は、国民年金の被保険者が障害者となったときに受け取れる。受給要件や年金額は以下の通り。

 

受給要件1

初診日に国民年金の被保険者であること。または、20歳未満もしくは60歳以上65歳未満で年金に加入していないこと。

受給要件2

障害認定日(*1)または20歳になったとき、障害等級1級または2級に該当していること。

受給要件3

【基本ルール】初診日前日に2ヶ月前までの被保険者期間のうち、「保険料納付済期間」+「保険料免除期間」が3分の2以上あること。

例:29歳の場合、6年以上の支払が必要。

【特別ルール】初診日が平成3841日前で、初診日の前日に2ヶ月前までの1年間に保険料の未納がないこと。

【基本ルール】か【特別ルール】のどちらかを満たせばOK

生まれつき障害のある人、20歳未満で障害認定された人

障害等級1級または2級の人は、所得制限を満たせば障害基礎年金が受給可能。

1級の年金額

779,300円×1.25+子の加算額

779,300円×1.25倍=974,125

2級の年金額

779,300+子の加算額

*年金額のベース779,300円は、老齢基礎年金(平成29年度)の満額と同じ。

子の加算額 第1子、第2

224,300

子の加算額 第3子以降

74,800

 

(*1)障害認定日とは:障害の状態を定める日のこと。障害の原因となったケガや病気に関しての初診日から1年6ヶ月を経過した日、もしくは1年6ヶ月以内にそのケガまたは病気が治った場合(症状が固定した場合)は、その日を指す。

 

*65歳未満の人で、老齢基礎年金を受け取っている人(=繰上げ受給している人)は、65歳になったと換算されるので、障害認定を受けた場合でも障害基礎年金の受給不可。

 

受給要件3の詳細は、以下画像を参照のこと。

 


障害厚生年金

障害厚生年金は、厚生年金の被保険者が障害者となったときに受け取れる。受給要件や年金額は以下の通り。

 

受給要件1

初診日に厚生年金の被保険者であること。

受給要件2

障害認定日(*1)に、障害等級1級から3級のどれかに該当していること。

受給要件3

【基本ルール】初診日前日に2ヶ月前までの被保険者期間のうち、「保険料納付済期間」+「保険料免除期間」が3分の2以上あること。

【特別ルール】初診日が平成3841日前で、初診日の前日に2ヶ月前までの1年間に保険料の未納がないこと。

【基本ルール】か【特別ルール】のどちらかが満たされていればOK

1級の年金額

報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額(*2

*加給年金額は224,300円(平成29年度)。生計同一で65歳未満の配偶者がいる場合にもらえる。

*報酬比例の年金額の加入期間が300月(25年)未満の場合は、300月として計算する。

2級の年金額

報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額(*2

*加給年金額は224,300円(平成29年度)。生計同一で65歳未満の配偶者がいる場合にもらえる。

*報酬比例の年金額の加入期間が300月(25年)未満の場合は、300月として計算する。

3級の年金額

報酬比例の年金額

584,500円未満のときは、584,500

障害手当金

障害等級表に定める障害の状態にあるが、3級未満の人に一時金として支給される。

報酬比例の年金額×2

 

(*2)障害厚生年金の1級と2級の年金額の計算式などは、以下の画像の通り。


障害基礎年金と障害厚生年金の違い比較一覧表

 

障害基礎年金

障害厚生年金

受給要件

初診日に国民年金の被保険者であること。20歳未満、60歳〜65歳の人

初診日に厚生年金の被保険者であること。

障害の程度

障害等級1級、2

障害等級1級、2級、3

1級の年金額

779,300円×1.25+子の加算額

 

報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額

2級の年金額

779,300+子の加算額

 

報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額

3級の年金額

なし。

報酬比例の年金額

子の加算額

1子、第2子:224,300

3子以降:74,800

なし。

配偶者の加給年金額

なし。

224,300円(平成29年度)。生計同一で65歳未満の配偶者がいる場合にもらえる。

障害手当金

なし。

障害等級表に定める障害の状態にあるが、3級未満の人に一時金として支給される。

報酬比例の年金額×2

 

会社員や公務員など厚生年金の被保険者は、障害等級1級または2級になったときには、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2つとも受給できる。
自営業者など国民年金の被保険者は、障害等級1級または2級になったとき「障害基礎年金」のみ受給できる。

「障害基礎年金」には、子の加算額が付く。
「障害厚生年金」の年金額には、配偶者の加給年金額が付く。

「障害厚生年金」は、障害等級3級も対象になるが、「障害基礎年金」は、3級は対象外。
「障害厚生年金」には、3級未満の人向けに障害手当金がある。

「障害基礎年金」も「障害厚生年金」も、保険料支払の要件は同じ。

遺族給付

 

遺族給付には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類がある。

 

会社員や公務員などの厚生年金加入者の遺族は、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の両方を受け取れる。

 

しかし、自営業者などの第1号被保険者で国民年金にしか加入していなかった人の「子」または「子のある配偶者」は、「遺族基礎年金」しか受け取ることができない

 

老齢給付や障害給付同様に、国民年金・第1号被保険者(の配偶者や子)に対する給付は、厚生年金加入者(の配偶者や子)に対してのものより手薄となっている。

 

ただ、「遺族基礎年金」には、国民年金・第1号被保険者の遺族を対象として、独自の制度「寡婦年金」「死亡一時金」が設けられている。

 

基本的に、遺族給付は女性のための年金といっても過言ではないくらい、女性が優遇されている(例えば、寡婦年金の対象は妻のみ)。

 

遺族基礎年金や遺族厚生年金について勉強するときは、未亡人女性をイメージしながら具体的に考えていくと覚えやすい。

 

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金の第1号被保険者と第2号被保険者が亡くなったときに子または子のある配偶者が受け取れる。受給要件や年金額は以下の通り。

 

受給要件1

国民年金の被保険者が亡くなったとき

受給要件2

日本国内に住所があり、国民年金の被保険者だった60歳以上65歳未満の人が亡くなったとき

受給要件3

平成297月までに老齢基礎年金の受給権者が死亡したとき

受給要件4

「保険料納付済期間」+「保険料免除期間」+「合算対象期間」=25年以上の方が亡くなったとき

保険料の納付要件

受給要件12の場合は、以下を満たす必要がある。

【基本ルール】前々月までの被保険者期間中に、「保険料納付済期間」+「保険料免除期間」+「厚生年金保険の被保険者期間」+「共済組合の組合員期間」=全被保険者期間の3分の2以上。

【特別ルール】死亡日が平成38331日までに死亡した場合、被保険者が65歳未満であれば死亡月の前々月までの1年間に未納がなければ受給可能(死亡時65歳以上の人は適用外)。

【基本ルール】か【特別ルール】のどちらかを満たせばOK

受給できる遺族

死亡した人によって生計維持されていた、「子のある配偶者」または「子」

*「子」とは:死亡当時、18歳になって最初の3月末日を迎えていない人のこと。または、20歳未満で障害等級1級または2級の人。婚姻していないこと。

*年収は850万円(所得655.5円)未満の人が受給対象。受給確定後に年収850万円以上になった場合は受給可能。

年金額

779,300円+子の加算額

779,300円は、老齢基礎年金の満額と同じ。

子の加算額 第1子、第2

224,300

子の加算額 第3子以降

74,800


国民年金の独自給付 寡婦年金と死亡一時金

国民年金の独自給付として、「寡婦年金」と「死亡一時金」がある。第1号被保険者の
遺族だけが受け取れる。

 

ただし、「寡婦年金」と「死亡一時金」を重複受給はできない。どちらかひとつだけを選択する。

寡婦年金

受け取れる人

1:夫が亡くなった妻。

2:生前の夫が国民年金の第1号被保険者で、「保険料納付済期間」+「保険料免除期間」=10年以上(平成297月までは25年以上)という要件を満たしていた。

3:夫は年金(老齢基礎年金や障害基礎年金)を受給せず亡くなった。

4:夫により生計維持されており、事実婚を含む婚姻関係が10年以上継続していた。

14、すべてにあてはまる妻が寡婦年金を受け取れる。

受け取り期間

妻が60歳から65歳になるまで(老齢基礎年金の支給が始まるまで)。

金額

夫の老齢基礎年金額×4分の3の額

注意点

妻が老齢基礎年金を繰上げ受給している場合、寡婦年金の受け取り不可。

妻が、他の年金を受給している場合は、どちらかを選ぶ。


死亡一時金

受け取れる人

1:国民年金の第1号被保険者で、「保険料納付済期間」+「任意加入被保険者期間」=3年(36ヶ月)以上あった人の遺族。

2:生計を同じくしていた遺族。

3:遺族基礎年金を受給できない遺族。

 

13、すべてにあてはまる遺族が死亡一時金を受け取れる。

受け取り期間

死亡日の翌日から2年経過するまで。

金額

保険料納付済月数

金額

420月以上

32万円

360月以上420月未満

27万円

300月以上360月未満

22万円

240月以上300月未満

17万円

180月以上240月未満

145,000

36月以上180月未満

12万円

付加保険料を36月以上納付していた場合は+8,500

注意点

受給の権利のある遺族の順番は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹。

死亡した人が、年金(老齢基礎年金や障害基礎年金)を受給していた場合、死亡一時金の受け取りは不可。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金加入者(国民年金の第2号被保険者)が、亡くなったとき、遺族基礎年金と併せて遺族が受け取れるもの。

 

「子のない配偶者」…受け取りできない→「遺族基礎年金」

「子のない配偶者」…受け取りできる→「遺族厚生年金」

 

「子のある配偶者」…受け取りできる→「遺族基礎年金」

「子のある配偶者」…受け取りできる→「遺族厚生年金」

 

 

公的年金の給付 障害給付 遺族給付

 

受給要件1【短期要件】

厚生年金の被保険者が亡くなったとき

受給要件2【短期要件】

厚生年金被保険者期間中に初診日があるケガや病気が理由で、初診日から5年以内に死亡したとき

受給要件3【短期要件】

1級、2級の障害厚生年金を受け取っている人が、死亡したとき

受給要件4

 

 

平成297月まで老齢厚生年金の受給権者であった人が死亡したとき

受給要件5【長期要件】

「保険料納付済期間」+「保険料免除期間」+「合算対象期間」=25年以上の方が亡くなったとき

上記受給要件15のいずれかにあてはまるとき、受給できる。

保険料の納付要件

受給要件12の場合は、以下を満たす必要がある。

【基本ルール】死亡月の前々月までの被保険者期間中に、「国民年金保険料納付済期間」+「国民年金保険料免除期間」+「厚生年金保険の被保険者期間」+「共済組合の組合員期間」=全被保険者期間の3分の2以上。

【特別ルール】平成38331日までに死亡した場合、被保険者が65歳未満であれば死亡月の前々月までの1年間に未納がなければ受給可能(死亡時65歳以上の人は適用外)。

【基本ルール】か【特別ルール】のどちらかを満たせばOK

受給できる遺族

死亡した人によって生計維持されていた、以下の遺族のうち、受給の優先順位が高い人が受け取れる(1が最も優先される)。

1:子のある配偶者(夫は55歳以上)もしくは子

2:子のない妻もしくは55歳以上の夫

355歳以上の父母

4:孫

555歳以上の祖父母

*年金の受け取りは60歳からだが、夫が遺族基礎年金を受給している場合は、遺族厚生年金も併せて受け取り可能。

*子、孫とは、18歳になって最初の3月末日を迎えていない人のこと。または、20歳未満で障害等級1級または2級の人。婚姻していないこと。

*年収は850万円(所得655.5円)未満の人が受給対象。受給確定後に年収850万円以上になった場合は受給可能。

年金額

老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3

*報酬比例の年金額の加入期間が300月(25年)未満の場合は、300月として計算する。→【短期要件】と【長期要件】では、年金額の計算に違いがある。

注意点

子のない30歳未満の妻は、5年間経過で受給権が消滅する。

*夫死亡時に胎児だった子が生まれ、遺族基礎年金を受給するようになった場合は除外。

 

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